2025/12/26

皮ふのあれこれ

亜鉛欠乏症について

亜鉛は、私たち人間や生物にとって生存するために不可欠な物質です。

これが欠乏すれば、死に至ることもあります。

亜鉛は体の中でどこに存在するかというと

筋肉に60%、骨に30%、その次に多い場所が皮膚5%と肝臓5%です。

亜鉛は皮膚ではどんな役割があるのでしょうか。

亜鉛は表皮に多く存在します。

表皮の細胞の中で、亜鉛は細胞を増やしたり、

皮膚の炎症を抑えたりしています。

また、表皮より深部の真皮にも亜鉛は存在しています。

亜鉛は「ランゲルハンス細胞」と呼ばれる皮膚の門番の産生に必要な物質の一つです。

「ランゲルハンス細胞」は皮膚に入って来た「異物」を門番として見張りをし、

悪者だと判断すると、体の中の炎症細胞を引き寄せて、皮膚から追い出そうとする働きを持ちます。

ところが、亜鉛が欠乏すると、ランゲルハンス細胞が消失します。

そうなると、外から入ってくるアレルゲンや異物に対して、皮膚は炎症を起こさなくなると理論的には考えられます。

しかし、実際には亜鉛が欠乏していると、皮膚が敏感な状態になり、様々な刺激に対して過敏に反応し、特に洋服などが擦れる部位や口周り、目の周りなどに湿疹が出るのです。

これは、亜鉛が欠乏することによって、表皮細胞が正常に働かないため、

皮膚が易刺激症状になっていると考えられます。

その他、亜鉛欠乏による代表的な皮膚疾患としては、「脱毛症」があります。

脱毛症には、色々なタイプがありますが、

よく知られている円形に髪が抜ける「円形脱毛症」ではなく、

多くは、全体的に毛が薄くなってくる「休止期脱毛」となります。

亜鉛は正常な毛を形成するのに必要不可欠な物質だからです。

このように、亜鉛は皮膚や髪には重要な物質として、

意識して食物から摂取することをお勧めします。

亜鉛を多く含む食材は魚介類(特に牡蠣)、うなぎ、レバー、大豆製品、ナッツ類などです。

日々診察していると、若い方でも毛が抜けて、毛量が減ってきたという患者さんに遭遇します。

もちろん、毛が抜ける症状が全て亜鉛欠乏症とは限りませんが、

過激なダイエットなどで亜鉛や様々な栄養素が足りず、脱毛症を発症することもあります。

皮膚の健康を維持するためにも、亜鉛はもちろん、

食事の内容を意識して、ビタミン、タンパク質、ミネラル、脂質、糖質を偏りなく摂取しましょう。