2025/05/27

皮ふのあれこれ

乾癬にもタピナロフクリーム

今回は前回お話ししました「タピナロフクリーム(商品名:ブイタマークリーム)」についてお話しします。

前回はアトピー性皮膚炎への効果についてでしたが、

今回は「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」への効果についてです。

この薬の成分であるタピナロフは皮膚の細胞に入り込むと、「芳香族炭化水素受容体(=AhR)」にくっつき、その状態で細胞の核に侵入します。

その後、細胞核内で炎症を起こしている「サイトカイン」の産生を抑えるよう働きます。

尋常性乾癬は主に「Th17サイトカイン」が炎症の主だった犯人なのですが、このサイトカインの産生を抑えることで、皮膚の炎症を抑えて行きます。

その他、抗酸化作用やバリア機能を正常化させる作用も合わせ持ちます。

なぜ、アトピー性皮膚炎にも乾癬にも効く薬なのか。

それは、「タピナロフ」は アトピー性皮膚炎の炎症の犯人である「Th2サイトカイン」も抑える機能があるためです。

さて、どのぐらいの効果があるのでしょう。

実際の我が国での統計では、

元々の乾癬の皮疹面積が半分程度に改善する人が

1ヶ月後で46.8%。

3ヶ月後では77.7%、半年後で約90%、

1年後では95%に達します。                     

また、乾癬の皮疹面積が7.5割ほど改善する人の割合が

1ヶ月後で17.8%。

3ヶ月後で50.4%、半年後では77.5%。

1年後では80.8%に達します。

そして、タピナロフクリームには改善して薬を中止してもしばらく寛解状態(良い状態)が続くという利点もあります。(これをRemittive効果と言います)

副作用は毛包炎が22%、外用部位のかぶれ症状が13.7%に見られます。

そして、1日1回外用すれば良いという点と、

クリーム基材でベタつきにくいという点も使いやすいでしょう。

また、体のどこでも使用が可能で、ステロイドのように使う部位によって薬を変えなくて良いという点もあります。

ただ、薬価が3割負担で1本1354円と少し高めなので薬価を抑えたい方には不向きかもしれません。

尋常性乾癬は難治性皮膚疾患の一つです。

露出部に症状が出ることもあり、人目が気になる方も多いことでしょう。

ただ、現在は

様々な治療方法も出てきており、患者さんの生活パターンやニーズに合わせて薬を選ぶことも可能です。

ぜひ、尋常性乾癬でお悩みの方は皮膚科専門医にご相談ください。