2024/10/28
皮ふのあれこれ
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)とは? 体内での炎症が関わる??
今回は「尋常性乾癬(ジンジョウセイカンセン)」についてお話しします。
「尋常性乾癬」は難治性の皮膚疾患の一つです。
皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)が通常よりも早くなりすぎることで、皮膚表面が赤く、厚くなり、カサカサとした皮膚(りんせつ)が湿疹の表面に付着します。
点状のものから地図のように広い湿疹もあり、擦れたり、圧迫されやすい場所に出る特徴もあります。
患者さんによっては、頭皮から額といった露出部に湿疹が見られることから、QOLが阻害されることもあります。
さて、この疾患は「遺伝的な要因」と「環境的な要因」が重なることで発症すると言われています。
最近では乾癬の患者さんには高率に「乾癬性関節炎(カンセンセイカンセツエン)」を合併することも知られています。
この関節炎は体の様々な関節に炎症を起こします。
指の関節といった小さい関節から
胸の真ん中である胸骨(きょうこつ)と肋骨の付着部、
鎖骨(さこつ)、
腰に存在する仙骨と腸骨の付着部などなど。
そのほか、最も重要なことは、尋常性乾癬は「成人病」に関連していることも知られています。
「糖尿病」や「高脂血症」、「高血圧」が背景に存在し、
その疾患を起こすべく体で増殖してきた「異常なタンパク質」が乾癬のリスクを上げるのです。
その「異常なタンパク質」は将来的に関節炎や成人病だけに留まらず、
血管へ作用し、「心筋梗塞」や「脳卒中」を引き起こすリスクもあります。
現在では「異常なタンパク質」を体の様々な場所に作用しないようにする薬(生物学的製剤・JAK阻害薬・PDE4阻害薬など)もあります。
乾癬は皮膚だけの問題ではなく、「全身疾患」と捉えるべきという概念が医療界では定着してきました。
乾癬の皮疹の進行や悪化は全身的な炎症疾患の警告サインである可能性があります。
既存の治療では中々治らない「乾癬」の場合は皮膚科専門医にぜひご相談ください。