2024/07/06
皮ふのあれこれ
シミとその治療について
今回は顔の「しみ」についてお話しします。
「しみ」といっても色々なシミがあります。
まず代表的なシミといえば、「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」。
境界がはっきりした円形から楕円形で平べったい茶色の斑です。
「老人性イボ」もよく見かけるシミです。
これはとても小さいものから10円玉ぐらいのものまでありますが、茶色から黒色調で少し突出し、触るとゴツゴツもしくはザラザラした感じです。
そして、よく知られているのが「肝斑(かんぱん)」。
多くは両頬に見られますが、額や口周りにも見られるシミで、左右対称性の淡い茶色~灰色の斑です。境界があまりはっきりとはしておらず、なんとなく「くすんだ感じ」です。
その他にも「真皮メラノサイトーシス」と呼ばれるシミもあります。
このシミはその名の通り、シミの原因である「メラニン」が真皮に存在します。
「真皮」とは皮膚で言うと、地下2階に位置する層で(私たちに見えている皮膚は角層といい、これが皮膚の1階。その下の地下1階が「表皮」と呼ばれる層です。)
簡単にいえば皮膚の深い部位に何らかの影響でメラニンが増えてしまったシミといえます。
肝斑に比べると、比較的境界がはっきりしており、点状もしくはもう少し大きな島のような感じの茶色の斑です。
ざっとどんなシミがあるのかお話ししてきましたが、シミの治療をする場合にはそれぞれのシミの特徴で治療方法が変わります。
「老人性色素斑」は年齢とともに皮膚の生まれ変わりが悪くなり、紫外線によって増えた「メラニン」が表皮(地下1階)定着している状態ですので、生まれ変わりの悪い部位とメラニンを取り除く方法になります。
つまりは、表皮のメラニンに反応する「レーザー」や「フォトフェイシャル」で治療することになります。
「老人性イボ」は生まれ変わりの悪くなった、古い角質がどんどん溜まってイボになっていくものなので、古くなった角質ごと皮膚を焼却する治療になります。
保険内では液体窒素で何回か焼却する方法になりますが、早く治したい場合には炭酸ガスレーザーで焼却する方法もあります。
「肝斑」の治療は「レーザー」は禁忌となっています。なぜならば、紫外線や長年皮膚を擦ることで皮膚に炎症が起きた成れの果てと考えられており、レーザでさらに皮膚を痛めれば、シミが定着するからです。肝斑部のメラニンは表皮(地下1階)に存在するので、ハイドロキノンを塗ることが効果的です。また紫外線に当たることが一番の原因ですので、徹底的な「遮光」も効果的です。
「真皮メラノサイトーシス」はメラニンが深い皮膚の層に存在することから、表面的に働きかけてもシミの改善にはつながりません。つまりはハイドロキノンでなんとかしようとしても治りません。最も効果の高い治療はメラニンを標的に壊す効果のある「レーザー」です。
ただ、シミの治療はそのシミがどのシミなのかをきちんと見分けた上で治療をしなくてはならないため、実績と信頼のある病院で治療しましょう。