2023/07/23
皮ふのあれこれ
手汗でお困りではないですか?
今回は手汗の治療薬についてお話しします。
緊張しているしていないに関わらず、手汗がたくさん出て日常生活に支障をきたしているということはありませんか?
汗が出る仕組みについて少しお話しします。
汗を出す管は汗腺(かんせん)と呼ばれます。
汗腺はほぼ全身に分布しており、大脳から「汗を出せ」という指令がかかると、汗腺に存在するスイッチがオンの状態になり、汗が分泌されます。
スイッチの仕組みとしては、スイッチ内にある自律神経の一つ「交感神経」が興奮することでスイッチがオンになります。
手汗を抑えるには?このスイッチをオンにしないようにする必要があります。
つまりは、汗を出すスイッチに存在する交感神経が興奮しないようにするわけです。
このたび保険診療で処方ができるようになった「アポハイドローション」。
この薬は「オキシブニチン塩酸塩」を主成分とした薬で、交感神経が興奮するのを阻止します。
使い方は、夜寝る前に両手に薬剤を外用し、そのまま就寝。
起床後に水で洗い流します。
ただ、交感神経が興奮しないように阻止してしまうということは、
自律神経のもう一つ「副交感神経」が逆に作用してしまうこともあります。
そうすると、手に薬を外用したまま、目を擦ってしまうことで、目の瞳孔が開き(散瞳)ものが見えにくくなっり、
口の中に入った場合は口が乾く症状も報告があります。
よって外用後に目を擦ったり、コンタクトレンズの扱いをしたり、歯磨きをしたりすることは避ける必要があります。
また、現時点では手以外に外用することは安全性の観点から認められていません。
その他、12歳未満の患者さんには臨床試験を行っていないため、処方はできません。
手汗が必要以上に出ると、書類、プリント、テスト用紙などが濡れてしまい、仕事や学業に支障をきたすこともあるでしょう。
治療をご希望の方は、皮膚科専門医にご相談ください。