2023/04/22
皮ふのあれこれ
アタマジラミ
今回は「アタマジラミ」についてお話しします。
「アタマジラミ」はご存知の通り、毛髪に寄生する虫で、今でも時々感染している患者さんを診ます。
特に幼児や低学年の小児に多い傾向があります。
アタマジラミは幼虫や成虫の大きさが1〜3mm程度で灰色から茶色をしており、毛髪に近い色をしています。
普段は毛髪にしがみついていますが、1日に何度か頭皮に食いつき、吸血します。
また、メスは頭髪に卵を産みつけ、どんどん子孫を増やします。
アタマジラミは人から離れると吸血ができなくなるため2日ほどで死滅しますが、頭皮に棲みついていれば、寿命は1ヶ月ほどと言われています。
さて、どのように感染するかというと、頭皮の濃厚接触・・つまりは帽子を共用したり、頭と頭をすり合わせしたりすることで移ったり、
アタマジラミの成虫が感染者から離れて、特に寝具を共にしている方の頭髪に移ったりします。
治療方法は「ピレスロイド系の殺虫剤」「スミスリンシャンプー」がドラックストアや薬局で販売されており、このシャンプーを2〜3日おきに使用して治療します。
しかし、卵には殺虫剤が効かないため、スキブラシを使ったり、髪を短く切ったりすることも推奨されています。
さて、ここ最近、特に沖縄県で「ピレスロイド抵抗性」のアタマジラミがかなりの頻度で報告されています。なぜ沖縄だけ?なのかははっきりと分かっていません。
アタマジラミ自身も、ピレスロイドを使っている期間が長いと、どんどんとそれに対して耐性(薬剤に対して抵抗できるような力を持つこと)が出てきたものと考えられます。
そこで開発された薬剤が「ジメチコン」という成分です。
「ジメチコン」は「シリコン」の一種で、実際にはヘアトリートメントや美容液などに含まれています。このシリコンがアタマジラミの成虫や卵の気門(呼吸する穴)を塞いで呼吸をできなくし、殺虫するのです。
現在は薬局やドラックストアで「アースしらみとりローション」として購入できます。
関東地方でも、かなり稀ですが「ピレスロイド抵抗性」のアタマジラミに遭遇したこともあります。
これから暖かくなると、さらにシラミにとっては居心地の良い気候になります。
実は中々治らない頭皮湿疹がアタマジラミのことも。
特に幼児さん、小学校低学年のお子様の長引く頭皮の痒み、湿疹は注意しましょう。