2023/01/20
皮ふのあれこれ
ペットによるアレルギー
最近「ペットを飼いたいので、アレルギー検査をしてください。」という患者さんが増えてきました。
実は、ペットを飼った後でもアレルギーを発症することもあり、注意が必要です。
わんちゃんや猫、鳥などのペットと暮らしていくと、当然のことながらペットの毛、ふけ、尿や便に触れるようになります。
そしてこれらはわずかながら毎日のように皮膚や気道から体内へ取りまれていきます。
人によって様々ですが、ある一定の量を取り込んでしまうと、そこから体は「もうこれ以上は取り込まないでくれ!」と言わんばかりに、炎症つまりは「アレルギー」を起こすようになるのです。
ただ、全ての方がアレルギーを起こすわけではありません。
皮膚のバリアー機能が低下していたり、気道粘膜が弱い方に発症しやすいのです。
つまりは元々「アトピー性皮膚炎」の患者さんや慢性的に皮膚炎を起こしている方や
アレルギー性鼻炎、喘息のある方に多いのです。
それは、バリア機能の低下や気道粘膜が気弱な状態のため、ペットの毛やフケなどを取り込む量が健常な方に比べて多いからと考えられます。
ペットのアレルギー症状としては、皮膚に触れた部位が赤く腫れたり、結膜炎や鼻炎症状が主な症状ですが、時に全身の蕁麻疹へと悪化する場合もあります。
また、最近ではペットが原因の「食物アレルギー」も報告されています。
猫や犬のフケ、毛 尿や便に含まれる特殊なタンパクが豚肉にも存在し、豚肉を食べることでアレルギー症状の出る「ポーク・キャット症候群」。
鳥の羽毛や糞に含まれる特殊なタンパクが卵にも存在し、特に卵黄を食べることでアレルギー症状の出る「バード・エッグ症候群」。
これらのアレルギー症状は摂取してから2時間程度で蕁麻疹が出たり、喘息症状や結膜炎、鼻炎やひどい場合はアナフィラキシーを起こす場合もあります。
これらのことからも、ペットを飼う前にアレルギーがなくても、何年か一緒に暮らしていくうちにアレルギーになる場合もありますので、「検査をしたからずっと大丈夫。」とは思わない方が良いかもしれません。
今後ペットを飼う予定がある方、そしてすでに飼っている方にアドバイスです。
・皮膚のバリア機能は良好に保ちましょう
・アトピー性皮膚炎など慢性的に皮膚炎のある方、バリア機能が弱い方は定期的に適切なスキンケアーや治療をしましょう
・喘息や鼻炎のある方も適切な治療を受け、体内に極力ペットの毛やふけなどを取り込まないようにしましょう。